腸脛靭帯炎

腸脛靭帯炎

簡単に言うと,腸脛靭帯は腰の外側から膝の下やや外側に付着しています。(画像参照)

腸脛靭帯炎は最も一般的なランニング障害であり,

だいたい膝の外側や臀部に痛みが現れます。

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原因:多くの場合,腸脛靭帯炎は人工的な路面での下りや平地のランニング,

オーバーストライドや過度のヒールストライクによって生じると考えられています。

ほとんどの腸脛靭帯炎のランナーは,中殿筋と小殿筋(臀部を安定させる筋)と比べ

大腿四頭筋が強すぎます。臀部が緊張を保てず,膝を横切る腸脛靭帯はさらに緊張を

増し,よく見られる膝外側の痛みを生じます。

よくあるシナリオ

1)ランナーが店にやってきて,下り坂主体のレースや平坦なコースでの長距離走から数日後に生じた腸脛靭帯炎の痛みに愚痴をこぼしている。大抵,これらのタイプのランニングは大腿四頭筋をより使用し,筋のアンバランスを悪化させ,腸脛靭帯の痛みを出現させます(このシナリオは以下の2と組み合わさることがほとんど)。

2)オーバーストライドもしくはヒールストライク,特に下り坂を速く走るかスピードワークを行っている。

 

治療

1)短期間の休養—状態が落ち着くまで。数日~1週間ほどで十分。腸脛靭帯炎は2週間以上休んだところで良くなりません。多くのランナーが半年~1年ほどの休養の後,トレーニングを再開するとすぐに問題が再発すると報告されています。これは多くの問題の核心をついており,筋のアンバランスは休むことによって改善されないということです。そしてもう一つ,ランナーは休養の後,徹底的なテクニックの見直しをしていません。

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2)ストレッチと補強トレーニング—多くのランニングショップが筋のアンバランスに対して「サイドレッグリフト」「スタンディングサイドレッグリフト」「片脚スクワット」を行うことで対処してきました。補強トレーニングと腸脛靭帯のストレッチ,フォームローラーの使用を組み合わせましょう。

3)ロード(トレッドミル)では走らない&下りは歩く—腸脛靭帯炎を持つランナーの多くが,不整地(芝生や土のトレイルなど)では痛みなく走ることができると報告されています。路面がランダムであればあるほど臀部の強化につながり,筋のアンバランスが改善されます—これは問題の根本を解決するカギです。またランニングの途中,下り坂を歩くようにすれば,大腿四頭筋は強く働くことなく,より長い距離を痛みなく走ることができるでしょう。

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4)オーバーストライドに注意:体よりも前に足をつくオーバーストライドやヒールストライクは腸脛靭帯に過剰なストレスをかけます。

—ランニングテクニックについて学ぶことは,ランナーが自分自身の足の着き方がどうなっているのか,どう修正すればいいのかを知るために非常に効果的です。これにはLTRプログラムとして今後セミナーを全国で行なっていく予定です。

—ゼロドロップシューズは,多くの腸脛靭帯炎に苦しむランナーに効果的だと考えられます。ただ単に1週間ほどゼロドロップシューズを使用しただけで,腸脛靭帯炎を緩和できたケースもいくつかあります。ゼロドロップシューズは早すぎる着地を改善し,腸脛靭帯の関与も減らすことができます。従来のシューズの場合(前足部と比較して踵の部分のミッドソールが2倍厚く重い),オーバーストライドやヒールストライクを助長することになるでしょう。ゼロドロップシューズの場合,足はより地面と平行に接近し,まるで靴を履いていないかのように自然に着地します。ほとんどのランナーがこれによって効果的にオーバーストライドを制限でき,技術を向上させることができるでしょう。そしてこれらは腸脛靭帯炎にも有効です。